この記事では現地技術者が抱えるストレスとその対処法について紹介します。
大型電力機器メーカー現地技術者は、現地に派遣されるため孤独な戦いです。
(大型電力機器メーカーといえば日立製作所・東芝・三菱電機・富士電機などがあります。)
責任者は工程、人員配置、品質チェック、他作業業社・顧客との折衝とその責任は極めて重い上に、環境も悪い…。
そのため、プレッシャーは大きくストレスが溜まりやすく、疲労も溜まりがちです。
対策は、若手のうちに1つ上のポジションの先輩の仕事ぶりをしっかり見ておくことと、現地の休暇を以下に楽しむかです。
ポイントは、
- 若いうちにうんと叱られ現場慣れしよう
- 1つ上の立場になってシミュレーションしておこう
- 日頃から体力をつけておこう
- 現地の休暇で目一杯遊び、ストレスを発散しよう
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重電系メーカー現地技術者にありがちなストレス4大原因
出張続きでとにかく疲労がたまる
出張が主な業務なので、移動が多く、自宅にほとんど帰れないので疲れが溜まりっぱなしです。
多いときは1ヶ月に2、3箇所、エリアは全国なので色んなところをまわり、移動による疲労が蓄積されていきます。
また、長い期間だと2、3ヶ月現地へ出張に行きっぱなしなので、ホテルぐらしとなりリラックスできません。
さらに、現地では増し締めや荷物運びのような力仕事など体力を使う作業も多いので、もうヘトヘトです。
職場の雰囲気がかなり怖い
現場は大抵施行中の建設現場です。
そのため、建設作業員さんやその人達をまとめるゼネコン社員さんたちと一緒に仕事をします。
そういった人たちと並行で作業を進めているため、打ち合わせや現場で関わる機会を避けずにはいられません。
建設関係の作業員さんたちはよく想像される通り、怖い方がほとんどです。
よく打ち合わせや現場で揉めているとき、罵声を浴びせられたりあわや殴られそうになる場面をありました。
職場環境が過酷
建設現場は竣工後のように整った環境ではありません。
建設作業員さんが掘削工事をしていたり配線工事などを行っていて乱れた環境です。
さらに、冷暖房設備も稼働していません。
ドアはほとんど取り付けられていないため、冬はとても寒く、床は貼られていないため冷たいです。
また、安全のため半袖不可、保護帽(ヘルメット)着用必須なため、夏はとても暑いです。
プレッシャーがかなり激しい
そしてなにより、現地では顧客に納品する直前の工程なので、そのプレッシャーは相当なものです。
工場では多少失敗しても部品の替えがきいたり品質が多少悪くても後工程(現地)で修正が可能なのでまだ楽です。
ところが、現地では作業完了後は顧客に引き渡されるので欠陥や不備があると現地技術者が責任を負うことになります。
また、納期についても、設計や製造、工場検査で発生した遅れを取り戻さなければならず、建設現場ではその他土木工事電気工事の作業と足並みを揃えなければならず、かなり厳しい仕事です。
ストレスで限界になる瞬間、心配される症状や病気
現地技術職はストレスが溜まることも去ることながら疲労を回復することが出張中は難しいため、体調を崩す人も多いです。
免疫力が低下し風を引く人や胃潰瘍になる人など色々います。
かくいう私も現場でストレスが原因で胃腸炎を患いましたが、人手不足もあって薬を飲みながら現地で作業を続けていました。
これはまだ軽い方で、中には突如失踪する人もいました。
その人の現場は山の中だったのですが、必死の捜索でフラフラでさまよっているとこを確保し現場に連れ戻されたそうです。
その後、結局うつになり退職したと聞きました。
私はまだストレス耐性があったのでなんとかなりましたが、
若い人がこうなる傾向が強く、経験もないのに仕事をドンドン押し付けられるのが原因のようです。
重電系メーカー現地技術者の3つのストレス対処法
1)現場1つ1つを真剣に取り組む
工程管理や作業の質は先輩の仕事から学ぶことがほとんどです。
近年の深刻な人手不足ではつい昨日まで若手だったのに、突然責任者として現場に派遣されることもザラです。
なので、責任者でないうちに、先輩が普段からどのように責任者として振る舞っているかを観察することは自分が責任者となった時に心のゆとりを作る上で非常に重要です。
これを怠ると、仕事にひどい環境で仕事に押しつぶされるので体を壊します。
若手のうちに先輩から怒られ慣れておく
現場の空気に慣れることも大事です。
若手のうちは先輩に怒鳴られてばかりですが、責任がないうちに怒られるだけ怒られるのは何も損しないので、ドンドン怒られるべきだとも思います。
怒られたくないがあまりに何もしないで、いざ責任者になった時に怒られていては、
- 大変な仕事、ひどい環境、怒られてばっかり、疲れもとれないとなり、
- 体調を崩してどうしようもなくなりうつになって取り返しのつかないことになります。
ですので若手のうちに現場慣れしておきましょう。
出張の合間の休日を活用する
出張は日本全国を回るため、色々な景色や美味しいものに触れることが多いのもまた事実です。
長期の現場ですと、週に1度休みがあることもあるので、体力があれば観光や特産品に触れて仕事のことを忘れて旅気分ではしゃぐとストレスを発散することができます。
当然日頃から体力をつけておかないと、仕事の疲労+旅疲れでひどいことになりますが…
「ここがストレスの限界!」異動・退職・転職を考えるべき」タイミング
3年間経験して叱責に慣れないときは考え直すタイミングです。
現地技術者は設計から工場検査までの失態をカバーしている仕事ですので、様々な工程に移動することが可能です。
ただし、退職や転職をする場合は3年以内にすることをおすすめします。
3年以上勤務すると、キャリア扱いになるため、ほとんど似たような職種に転職することになりあまり現状が改善されません。
3年以内であれば、準新卒として異分野に転職することも可能です。
また、大手企業であれば、休職制度が手厚いため、仕事を継続したいがうつになったり体を壊してしまったときも、一度休職し、元気になってから現場に復帰するなり異動、転職を考えるというのも1つの手です。
重電系メーカー現地技術者として大きなストレスを抱える方へ
以上のように現地技術者はストレスと疲労が溜まりやすい業種です。
なので自分は向いていないかも…と考えるのも当然です。
本当にだめになりそうなときは他人のことを気にせず自分にわがままになることが大事です。
頑張って2年以上耐えたなら、そこで得たものは大概役に立ちます。
思い切って転職しても案外うまいこと行くものです。
でも仕事でストレスと疲労を抱え過ぎでうつになって再起不能になってはもう手遅れなのです。
現地技術者に憧れてこの仕事につこうと思っている方へ
まず、よく想像される建設現場の雰囲気が苦手な人にはおすすめできません。
これは合う・合わないの問題。
ただ、この業種は人手不足なため、
「別の分野を志望していても現場を経験してもらうため」
という建前で長い期間現場に配属され、ひどいときはそのまま一生その仕事を続けるということになりかねません。
採用面接のときに業種を確認しておくことも大事ですし、
まだ仕事をしたことがない方には現場とはどういうものかをOBや企業に問い合わせて調べることをおすすめします。