キャリアアドバイザーのイメージとして、相談に乗って必要な求人を提案するボランティアのような仕事だととらえられがちですが、実際は、希望と現実の乖離を伝えなければならないとてもシビアな仕事です。
ここでは人材紹介会社のキャリアアドバイザーのストレスあるあると対策を紹介します。
人材業界でキャリアアドバイザーとして働いていると、売上目標達成と顧客志向の板挟みになったり、業務量の多さに疲弊することもあります。
しかし、計画的に業務設計を行い、心に余裕を持ちながら、優先順位をつけて仕事を行うことで、今自分が何をすることが最善なのか考える力と行動力が身に付き、なおかつ、自分自身も成長できます。
また、知識を身に着け続けることで説得力のある情報提供を行えますし、結果顧客志向を達成しつつ、転職先決定という最高の結果を導くことができる仕事です。
キャリアアドバイザーは、責任の重い仕事ではありますが、やり遂げた時の達成感は計り知れません。
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人材紹介会社キャリアドバイザーでありがちなストレスの原因
1)業務量が多く、忙しい
個人営業の仕事なので、最も忙しい時間は平日の夜と土曜日です。
基本的に毎日残業しないと仕事が終わらないほど仕事量が多いです。
カウンセリング一つにしても、
- 転職理由を事前情報で想像して提案求人を準備し、
- カウンセリング後はすぐに転職活動を始めるように定期的に電話やメールでフォローし、
- 新しい求人がないか常に探し、
- 新しい求人が出たら即座に対象者に紹介し、
- 書類選考から面接に入ったら、最終面接合格で内定を勝ち取るまで面接対策
- 内定を受諾した後は現職の退職交渉もフォロー
この流れを一人で行い、毎月30~50件キャリアカウンセリングをします。
自分の担当顧客を常に50人程度抱えてまわしていくサイクルを自ら計画を立てて行わなければなりません。
業務量が多く、休日出勤やサービス残業で疲弊する人材が多いです。
2)顧客に裏切られるストレス
相手にする顧客は転職を考えている個人です。
人材紹介のサービスは個人側からは一切お金を受け取らないので、
サービスの途中で音信不通になったり、
話していることがすべて嘘だったり、
内定を受諾したのに、後で辞退してトラブルになったり
ととにかく自由な顧客が多く、法人のように契約書を交わしているわけではないので、いい加減な対応をされることが多くあります。
キャリアアドバイザーの中には人間不信になる方もいます。
3)目標達成と顧客志向のバランスが難しい
アドバイザーといっても個人営業職なので、毎月目標ノルマがあります。
月のノルマを達成させるためにお勧めしたくない企業から内定が出た場合でも、内定を受諾するように説得しなければならない場面もあります。
また個人の希望をすべてかなえることができる求人はないので、個人が行きたい企業の求人ではなく、その個人の現在の業務スキルに見合った提案を求人しなければなりません。
そのため、いかに本人にショックを与えないように現実をお伝えするかも重要な仕事になってきます。
ボランティア精神でできる仕事ではなく、目標達成し売り上げを作ることを常に考えつつ、いかに顧客に寄り添えるかが大変です。
そのバランスに悩んで精神を病む方も多いです。
4)人の人生に関わる責任の重さ
転職は人生を左右する分岐点になります。
紹介した求人で働いた個人から恨み節のようなクレームをもらい、早期退職になってしまうこともあります。
キャリアアドバイザーは恨まれる可能性が0ではない仕事ですし、
自分の意見でその人の人生を180度変えてしまう可能性もある仕事なので、
その責任の重さをストレスに感じる人も多いのです。
キャリアアドバイザーがストレスで限界になる瞬間、心配される症状や病気
数字に対するプレッシャー
キャリアアドバイザーとして最も多いストレスの原因は、数字に対するプレッシャーと顧客志向の板挟みになり、精神のバランスを崩してしまうことです。
人のためになりたいと人材業界に入った人ほど、理想の現実のギャップに悩まされ、心に闇を抱える人が多いです。
具体的には、目標達成をしなければならないプレッシャーと顧客のために顧客の要望をかなえたいと思う精神とで板挟みになって、どのような提案をしたらいいのかわからなくなります。
上司と顧客の板挟み
最初のうちはがむしゃらに上から言われたとおりに仕事をこなし、日々の忙しさに相殺されて何も感じないのですが、
仕事に慣れてきて、自分なりのスタイルを確立したり、予算があがってくると、
- 上からは予算達成を求められるのに、
- 自分としては顧客のために別の求人を提案したくなったり、
- 顧客に寄り添いたくなったりと、
どちらに焦点をあてて仕事をしたらいいのかわからなくなります。
入社して1年ほど経ち、予算も一人前になったタイミングでストレスに限界が来る方が多いです。
具体的な症状としては、
- 会社に来ることができなくなったり、
- 会社出社できたとしても嘔吐が止まらない
- ストレスで仕事をすることができない状態になってしまう
などのケースがあります。
最悪産業医にかかってドクターストップとなり、そのまま退職することも。
キャリアーアドバイザーのストレス対処法
1)キャリアアドバイザーとして普段から心がけたいストレスマネジメント
人材業界のキャリアアドバイザー職は営業職なので、毎月のノルマ達成を求められることは避けられません。
ストレスを感じる人は、予算達成のために無理やり入社の意思を固めさせてるという罪悪感があるからです。したがって、毎月のノルマ達成に焦って、無理やり意思決定を迫ることがないように何事も前倒しで計画を立てて仕事を進めることが重要になります。
月末が予算の締日のことがほとんどなので、その1週間前を自分の中で月末と仮定して計画を立て、仕事を進めると、心に余裕が生まれ、無理やり意思決定を迫るような仕事をする必要がなくなります。
2)優先順位をつけて、「捨てる」ことになれる
仕事量が膨大すぎて、仕事の終わりが見えない仕事ですが、すべてを完璧にやろうとすると、時間がとても足りず、疲弊していきます。何をすることが最優先なのか常に考えて、適度に見切りをつけることで、終わらないことに対するストレスを軽減することができます。
3)人生に関わる責任の伴う仕事だからこそ、常に勉強し続ける
よくない転職だったと感じる人が生まれないように仕事を行い、ストレスを感じる場面を最小限に抑える工夫をします。
人生に関わる仕事をしている責任感はむしろ感じながら行わなければならない仕事です。そこをストレスに感じるのではなく、だからこそ頑張らないといけないと自分を動かす原動力に変える発想の転換を行うことが必要です。
責任が重い仕事なので、自分の意見が非常に重要になります。だからこそ、間違った判断をしてもらわないために、常にプロとして知識を吸収し続ける努力をしなければなりません。
経験や知識量が増えれば増えるほど、自分の言葉に説得力を持たせることができ、気持ちよく判断してもらうための情報提供を自信を持って行えます。
結果として転職してよかったといわれるようなサポートができ、ストレスを感じるような恨み言を言われる場面が発生しません。
4)ストレスはためこまずに同僚に話して消化
正解のない仕事だからこそ、自分一人の判断で視野の狭い対応をしていると、あとあともっとこうしておけばよかったと後悔し、ストレスを感じることになります。
積極的に周りの同僚に相談し、いろんな意見を取り入れながらどのような選択をしたらよかったのか振り返ることが大切です。
また人材業界で働く人は基本的に人の話を聞くことが大好きな人材が多く、悩みに対して的確なアドバイスをしてくれるため、話すだけで気が楽になり、前向きな気持ちになることができます。
キャリアアドバイザー「ここまでストレスが溜まったら異動・退職・転職を考えるべき」タイミング
個人の方の転職が決定しても一切喜ぶことができないほど、個人の方を数字でしか見れないくらい追い込まれてしまったら、職種転換を考えるタイミングかもしれません。
例えば、最初は純粋に個人の方の転職先が決定したことを喜べていたのに、日々の仕事量の多さですべてが流れ作業になって思い入れがなくなったり、目標達成を意識するあまりに、個人を数字としかとらえられなくなってしまうと、精神的に追い詰められているサインになります。
それでも割り切って結果を出し続けることができるのであれば問題ありませんが、そうではないなら、ストレスが相当溜まっていることを自覚し、対策を立てた方が良いです。
大きなストレスを抱えるキャリアアドバイザーの方へ
人材業界のキャリアアドバイザーはストレスの多い仕事ですが、その分やりがいもあり、人に感謝される仕事です。
ストレスを完全になくすことはできないですが、ストレスを感じる場面をできるだけ少なくすることは自分の努力次第でできると思います。
向き不向きのある職業だと思いますが、年をとってもずっと続けていける仕事だし、経験を積めば積むほど仕事に活かすことができますので、ぜひストレスを上手に調整しながら、長く続けていただきたいと思います。